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アントレプレナーシップ教育の核心は何か

  • 2 日前
  • 読了時間: 3分

アントレプレナーシップ教育という言葉は、近年急速に広がっています。起業家育成、地域課題解決、社会起業、社内起業など、その扱う範囲は多様です。文部科学省の整理でも、起業に限らず「社会に新たな価値を創造する力」を広く涵養することが重視されています。

しかし、数多くの現場で実践を重ねる中で重要だと考えている点は、もう少し手前にあります。


それは、アントレプレナーシップ教育の核心は、アイデア創出や事業計画のスキル以前に、WHY(なぜやるのか)をどう扱うかにあるということです。


WHYは軽視されているわけではない


新規事業の立ち上げにおいて、WHYに時間をかける努力は一般的に行われています。市場調査を行い、顧客の課題を掘り下げ、仮説を検証する。表面的に見ると、WHYは十分に議論されているように見えます。


問題はむしろ、共有された前提が存在する環境にあります。


例えば、

  • 同じ企業文化の中での社内起業

  • 同じ建学の精神のもとでの学校改革

  • 既存組織の延長線上での新規施策

このような場面では、「なぜやるのか」は阿吽の呼吸で進みやすい。

理念やビジョンが共有されているがゆえに、上位の問いは改めて構造的に検討されにくいのです。

共有された前提は、強力です。しかし同時に、疑われにくい。

ここに、WHYが暗黙知のまま進むリスクがあります。


WHYを形式知にするということ




    図 課題の構造化


WHYを形式知にするとは、単に言語化することではありません。

それは、

  • そのWHYは、どのような上位(社会)課題と接続しているのか

  • そのWHYにつながる無数のWHAT(課題)の中で、必然性があるWHATを選んだか

  • そのHOW(どうやるか)は、自分たちの強みを活かせるか

といった関係性を、階層構造の中で捉え直すことです。

WHY–WHAT–HOWはピラミッド構造を成しています。上位が曖昧なままでは、下位は振り子のように揺れます。

課題の構造化とは、問いを階層の中に置き、整合性を検証する営みです。これにより、WHATを誤るリスクを下げることができます。


不確実性の中で問いを更新する


しかし、構造化は一度行えば終わるものではありません。不確実な状況では、問いそのものも更新され続けます。

そこで重要になるのが、仮説検証の循環です。

  • 状況を観察し(See)

  • 構造を考え(Think)

  • 仮説を立て(Plan)

  • 行動し検証する(Do)

この循環を回すことで、WHYは理念から仮説へと変わり、学習可能な対象になります。

従来のPDCAが「与えられた課題を改善する」ためのプロセスであるとすれば、この循環は「課題そのものを問い直し続ける」ためのプロセスです。

アントレプレナーシップ教育の核心は、まさにここにあります。


アントレプレナーシップ教育の中核


アントレプレナーシップとは、起業の技術ではありません。

それは、

不確実な状況の中で問いを立て、見える化し、仮説をもって社会と向き合う力

を育てる営みです。

そしてそのために不可欠なのが、

  1. WHYを形式知として扱うための課題の構造化

  2. 問いを更新し続けるための仮説検証の循環

です。

共有された前提がある組織ほど、この力は重要になります。理念を持つことと、理念を仮説として扱うことは、異なるからです。

アントレプレナーシップ教育の真価は、アイデアを生み出すことではなく、問いを扱い続ける力を育てることにあります。

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